寄るな、触れるな、隣のファンタジア~変人上等!? 巻き込み婚~

寄るな、触れるな、隣のファンタジア~変人上等!? 巻き込み婚~

last updateLast Updated : 2025-04-30
By:  天岸あおいUpdated just now
Language: Japanese
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異世界からの俺様美形王子×現代の巻き込まれ平凡男子の、現代ラブコメ逆転移ファンタジー。 ※話タイトル前の『●』はR18シーンあり。 普通の高校生・坂宮太智の隣に引っ越してきた百谷三兄弟。 ある夜、大智は隣人がなぜか庭を光らせたり、異世界ゲームキャラな格好をしている姿を目撃する。 その日から大智は隣人が気になってしまい、 クラスで席も隣な同級生・百谷圭次郎ウォッチングにハマってしまう。 しかし、それが圭次郎にバレてしまった時、太智は取り返しのつかない仕打ちを受けてしまう――。 「坂宮太智、お前もこれから好奇の視線に晒されて、変人の烙印を押されるがいい」 「そんなことで結婚するなよぉぉっ!」 ※表紙絵 星埜いろ先生

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Chapter 1

隣に非凡の固まりが引っ越してきた

高三の五月という中途半端な時期だった。

それまでの俺は見た目通りの中肉中背平凡男子学生で、特に大きなトラブルもなく、若干悪ノリ気味で平和に生きてきた。

だけど連休最終日の昼下がり、俺ん家の隣に非凡の固まりが引っ越してきた。

◇◇◇

「突然申し訳ありません。このたび隣に引っ越して参りました百谷芦太郎〈ももやあしたろう〉と申します」

挨拶に来たのは、映画から抜け出てきたような美青年二人と美少年。

俺ん家の玄関が春のイケメン祭りになった。

開口一番に深々と頭を下げたのは 艶やかな黒髪のオールバックの男性。

凛々しく端正な顔立ち。「よろしくお願いします」と耳障りのいい低い声。

気のせいか背後にキラキラエフェクトが見えてきた。

俺の隣で、母さんから「熟女キラーね」という呟きが聞こえてくる。

熟女だけじゃなく、ちっちゃい女の子からおばーちゃんまで喜ぶと思う。しかも俺が通う高校の数学教諭として赴任するらしかった。

これだけでも明日から学校が騒がしくなる予感でいっぱいなのに、

「初めまして、私は百谷宗三郎〈ももやそうざぶろう〉。兄の芦太郎と同じ高校に産休の養護教諭の代理で来ました。何かありましたら、いつでも頼って下さいね」

眼鏡をかけたにこやかな兄ちゃんで、焦げ茶のウネウネ髪。

保健室の先生よりもホストのほうが似合いそうな、優男系イケメン。保健室が女子の溜まり場になる未来が見えてくる。

こんな先生が二人も赴任するなんて、間違いなく学校がお祭りモードに突入するはず。

そしてトドメは――。

「……」

「……こら、挨拶しなさい」

「……百谷圭次郎〈ももやけいじろう〉だ」

芦太郎さんに促されて、兄二人の後ろで隠れるように立っていたヤツがボソッと言った。

鋭い目つきに不満そうに顔をしかめたままの、長い茶髪を後ろで束ねた少年。この短いやり取りだけで確信してしまった。まともに挨拶もできないコイツは厄介で嫌なヤツだと。

手足は長いし、俺よりも背丈がある。めちゃくちゃ羨ましい。

しかも兄二人のイケメンっぷりが霞むくらいの美人顔。鼻の高さやら彫りの深さやらが日本人離れしていて、モデルじゃないと言われたほうが嘘だと叫びたくなるレベルだ。

絶対に学校来たら全学年がざわつく。女子だけじゃなく、男子も落ち着かなくなる。

そんな確信をしていると、俺の腕を母ちゃんが肘でつついてくる。

このまま挨拶しなかったら難ありイケメン以下になる。それは絶対イヤだったから、俺は愛想良く笑った。

「俺、坂宮太智〈さかみやたいち〉です。先生たちが赴任する高校の三年で――」

「じゃあ圭次郎と同じですね。クラスは二組ですよ」

嬉しそうな宗三郎さんの答えを聞いて、俺の心の中が引きつった。

え……同じ学年?

しかも二組って、俺と一緒じゃねーか!

動揺する俺をよそに、母さんが「まあ! この子と同じクラスね!」と嬉しそうに答える。なんで母さんが喜ぶんだよ。

あああ、保護者と先生たち同士で話が盛り上がってる!

ってか百谷兄たち揃って「どうか、どうか圭次郎をお願い致します!」って目を潤ませながら頭下げてる。なぜか母さんに……。学校通うの俺なのに。まあ頼まれても困るけど。

ふと視線を感じて顔を向けると、圭次郎と目が合う。

視線に熱がない。

友好な雰囲気まったくなし。仲良くなる気ゼロ。

その割には俺から目を逸らさずジッと見てくる。

「俺の顔に何かついてるか?」

視線に耐え切れなくなって俺から話しかけると、圭次郎はクルリと背を向けた。

「……行くぞ、二人とも」

大人たちの和やかな空気をガン無視で家を出ていく圭次郎。場が一気に気まずくなる。

「す、すみません、坂宮さん。今日はこれで失礼します」

芦太郎さんが慌てて直角に頭を下げて、宗三郎さんと一緒に圭次郎を追っていく。

春のイケメン祭りは、嵐のように去ってしまった。

しばらくぽかんとなってたけれど、母さんの声で俺は我に返った。

「……大智、圭次郎くんと仲良くなってあげるのよ」

「えっ!? 急に何を言い出すんだよ……見ただろ、あの態度。俺と仲良くする気ゼロなのに」

「きっと深い事情があるのよ。だって――兄弟なのに、三人とも似てなさすぎるから」

言われて思わず「確かに」と頷いてしまう。

それに二人とも先生なのに、圭次郎の非礼を強く咎めはしなかった。

帰り際なんて殿様に付き従う家臣みたいな感じだったもんな。どこか遠慮しているような空気だった。

似ていなくて、どこか不自然な三兄弟。

でも、こっちが仲良くするつもりでも、あっちが拒絶するならどうしようもない。

ただ顔がいいお隣さんができただけ。

俺から近づくことなんてまずないだろうと思っていた。

そう。アレを目撃するまでは――。

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